北海道の冬が恋しいかどうかについて
結論から行くと、タイトルの答えはノーだ。
北海道の冬はメンタルの攻撃から始まる。
冬の始まりの焦燥感と物悲しさったらなんとも言いようのない切なさなのだ。本州のような明るい感じではなく、街から一気に色が消える。
秋口に車の中に入って寒くて寒くてなかなかあたたまらないときのいよいよ感と諦めを想像できるだろうか?
仕方ない。これから始まるんだ。あの冬が。
と腹を括る瞬間を。
知り合いに北海道で開業したちょっと珍しい先生がおられるのだが、その先生の著書には雪国鬱的なことがとりあげられている。実際には日照時間と関係しているらしい。つまりセロトニンが関係しているってことなんだろうか。
降って仕舞えば諦めもついて開き直れるんだけど、降るまでの気持ちの落ち着かなさったらないんだなこれが。
んま、色々マイナスなことも言ったけど結果的に「確かに冬は厳しいものなんだけどその分一際ひときわ春が嬉しく素晴らしいものに感じられる」よってところは北海道の名誉のためにも伝えておきたいところではある。
それから「四季がハッキリしていて色んな楽しみ方がある」なんていう趣のある見方もあるかもしれない。
写真は好きだけど絶景に出くわすまであの極寒の中待ち伏せている根性はないし、雪降ろし、除雪から始まる1日を思うとどうも気が重いのだが、それでもいくつか雪国の楽しみ方に心当たりはある。
まずは日の出だ。
オホーツク海に面する雄武町に日の出温泉という隠れた名泉がある。
私のおすすめは日の出とともに白い銀世界にピンクに映し出される流氷をみてからこの温泉でひとっ風呂浴びることだ。
この街には毎年2月下旬から3月にかけて"流氷"が接岸する。年々地球温暖化の影響で流氷の量が減ってきていると言われているものの、目の前でそれを目撃すればそのスケールの大きさに感動すること間違いなしだろう。
加えてこの時期は日の出が6時頃と比較的遅めとなっているので早起きが苦手な人でも頑張れば絶景が見られる。
まぁ海鮮にはあまり期待し過ぎない方がよいとしか言えないが、旅の上級者的楽しみ方としてはセコマのおにぎりとカップ味噌汁の素朴な美味しさを味わってもらいたい。
と、北国に思いを馳せながらも今私は東京の自宅で風呂上がりに窓を開けてドライヤーをしながら涼みつつ街明かりを見下ろして電車の音を聴いている。そうしていると千と千尋のフィナーレの音楽が流れてきて、(【千尋のワルツ】という歌)
なんともエモい気分になる。
そんな東京の平和な冬が大好きなのでした。